私の2018年シネマ歌舞伎第一弾として『京鹿子娘五人道成寺』を観てきました。
中村七之助さん、梅枝さん、児太郎さんという若手実力派の女形役者さんに加えて、いつもはりりしい男役の中村勘九郎さんも麗しい娘役に。
そして女形の大御所、坂東玉三郎さん。
華のある五名が、白拍子の花子というひとつの役を演じられています。
『京鹿子娘道成寺』というほぼ全編が舞で構成されている演目があり、それを、五人で踊り分ける演出がなされた初めての公演だったそう。
時にはひとりで、時には二人、三人で。
五人勢揃いの舞の場面もありました。
次々と色とりどりの鮮やかなお着物で出てこられたり、小道具を使ったり、早着替えがあったり…圧巻!
舞台上の映像に加え、着替えやお化粧など舞台袖のドキュメンタリー映像、役者さんたちへのインタビュー映像も織り込まれていました。
これはシネマ歌舞伎ならでは。
他では見られない、舞台袖で忙しなく衣装やお化粧を変えておられる様子や役者のみなさんの本音にエキサイトしました!
そうそう、ほぼ舞なんだけど、最初の方に修行僧たちと花子がやりとりする禅問答のような台詞のシーンもおもしろかったな。
『あると思えば有り、なしと思えば無し。色即是空 空即是色』
これぞヴェーダーンタのエッセンス也。
め〜ちゃテンション上がったでしかし。
白状すると…という程の白状ではないが、私には日本舞踊のたしなみがまったくない。
歌舞伎は好きだが舞の演目の良さがまだわからず、台詞やストーリーがある演目の方がはやり馴染みやすい。
なのですが、これをきっかけに舞にも目覚めるか?と思う言葉を超える美しさが『娘五人道成寺』にはありました。
ずっとスクリーンに釘付け。
日本舞踊習おうかしらと、とちらっと、でも割と本気で思いました。
そして初めて拝見した坂東玉三郎さんの舞台。
玉三郎さんのインタビュー映像に私はただ、大いなるものを感じて打ちのめされました。
白拍子花子という役を演じる上での役作りについて。
叶わなかった恋の恨み。
それを深く深く突き詰めて探っていくと人間を越えた何か大きなものが見えてくる。
そこにこの役の奥深さ、役者としての成長が見える、と。
若手の俳優さんたちとともに舞台に立つことの意味について。
演じることに関してはもちろん、それ以外の稽古場や舞台袖などのあらゆる場面で先輩俳優の姿から学ぶことが非常に多い、と。
60歳を過ぎて尚、芸を肥やし深めて役者として成長したいという真摯な向上心、後輩の俳優さんたちを想う兄心、歌舞伎を愛する思いがものすごく伝わって来て、感動で打ち震えました。
伝統を受け継ぎ、表現しつづけて自分自身が伝統となり、それを後世へ受け継いでいこうとされる心。
自分の人生にとことん向き合って、自分の役割を全霊をかけて果たそうとする姿。
玉三郎さんの生き様は清々しく麗しく、愛に溢れていて、それこそ“人間”を超えた大いなる存在をそのお姿から感じました。
ヨーガの学びの中で出会って来た先生方のお姿からも、そんな深い愛を感じることがたびたびあります。
師匠と寝食を共にして、その生活の中から学ぶというスタイルがいかに大切か、インドのアシュラムで経験しました。
その都度、大いなる存在に気付き、感情や思考を超えたもっともっと深いところからの感動に打ち震えます。
玉三郎さんに震えたのもそういうことだったんだと思います。
玉三郎さんのように、そしてヨーガの先生たちのように有りたい。
そのためには、努力、勤勉さ、オープンなマインド、プラクティス、時間…山のように課題が思い浮かびますが、とにかく日々を大切に生きることがそれらにつながっていくんじゃないかと思います。
歌舞伎を観る度にこういうことを感じます。
毎度毎度ごめんなさいね、でもね、新鮮な感動と目からウロコな学びが毎回あります。
どんなことにも学びがあり、愛がある。
そう、やっぱり愛なんだよ。
さあて月イチ歌舞伎、次は何を観に行こうかしら。
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